第27章 俺を怖がらないで

けれど次の瞬間、橘結衣は――自分が考えすぎだと打ち消した。

宮本景太が、何の理由もなく怒るはずがない。

まさか、私が彼を騙したなんて――知ってるはずもない。

そう思った、その耳に。

男の冷え切った声が落ちてくる。

「騙したな」

「……っ!」

嘘でしょ。なんで分かるの。

「わ、私が……何を騙したんですか」

恐怖で喉が縮むのを必死に押さえ、声色だけは平然を装う。

「お前が一番分かってるだろ」

「宮本さん。私は一度も、宮本さんを騙したことなんてありません。どうしてそんなことを言うんですか」

ここまで自然に言えたなら、気づかれるはずが――。

電話の向こうで、男が小さく息を吐...

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